くらやみの速さはどれぐらい

読んだ。

現代版アルジャーノンに花束をだという評価もある。

自閉症が治療可能になった近未来。 自閉症者最後の世代であるルウは、製薬会社の仕事とフェンシングの趣味をもち、困難はありつつも自分なりに充実した日々を送っていた……ある日上司から、新しい治療法の実験台になることを迫られるまでは。
“光の前にはいつも闇がある。だから暗闇のほうが光よりも速く進むはず” そう問いかける自閉症者ルウのこまやかな感性で語られる、感動の“21世紀版『アルジャーノンに花束を』”。

自閉症の症状について不勉強なので、本当のところはわからないけれど、曖昧をゆるさない態度が、あやふやにしている傲慢や不公平を断罪していく様はハッとさせられた。

最終的に、主人公のルウは英断によって新しい世界に旅立つわけだけど、それはいいことばかりではない。感性はかわり、心を許せる相手も変わっていく。
先に進むことによって失われてしまうものはあるわけで、心のどこかでそれを怖がっているうちは、先に進むことはできない、ということも描かれている。