Lightning networkで可能になる未来

Lightning networkで可能になる未来という動画をまとめてみる。動機としては、RGB周りの温度感が高まっていて、今一度全体感を理解したいと思ったから。

RGBとは

  • Lightning Network上の3rdレイヤープロトコルとしてデジタルアセット発行するRGBプロトコル
  • Bitcoinを第一階層・Lightning Networkを第二階層とし、その上でトークンを発行するRGBプロトコルである。RGBプロジェクトは、Bitcoin上でアセット発行するカラードコインにおける研究をもとに、現在主流となっているEthereumのERC20に代わる頑健なプロトコル提供を目指すもの。Bitcoinの頑健性に依拠するだけでは、ベースレイヤーの制約を考慮する必要があるため、Lightning Networkの上に構築することによって、スケーラビリティやセキュリティを提供できると考え、RGBプロトコルは第三階層(3rdレイヤー)の位置付けでアセット発行機能を提供する。

  • RGBは、Lightning Networkスタック上にOpenSealsフレームワークを用いてデジタルアセットを発行する。このOpenSealsフレームワークは、アセットの流通・オーナーシップ・未利用残高に関わる情報(ステート)を、分散管理するものであり、Lightning Networkなどセカンドレイヤープロトコル上でも動くもの。

  • オフチェーンにおけるステートに関するコンセンサスは、Peter Todd氏が提唱した「Client-side validation model」を利用するほか、Lightning Networkトランザクションアウトプット(single-use seals)に埋め込まれたコミットメントの検証を組み合わせて実現する。「Client-side validation model」は、2016年のMilanでのScalingBitcoinで発表されたものであり、マイナーに負担をかけないだけでなく、軽量クライアントにおいても検証の要件を満たすことができる点が特徴。

  • このRGBプロトコルのように、Lightning Network(2ndレイヤープロトコル)上で稼働する「3rdレイヤープロトコル」が複数登場してきている。その一つが、ScalingBitcoin 2019でPandora Coreが発表したStormであり、LN上で経済インセンティブをつける分散ストレージ・メッセージングのプロトコル。Pandora Coreは、Baltic Honeybadgerでも登壇し、Stormを始めとする、セカンドレイヤー上でデジタルアセット発行・秘匿送金・分散計算を行う技術スタックを発表しており、ペイメントだけでなくプログラマブルアセットや機械学習計算への応用を視野に入れているとされる。今後もLightning Network上のプロトコル・サービス開発の動向に注目したい。

主要プレイヤー

RGBを開発しているのは下記の会社をよく聞く。

Lightning networkで可能になる未来

Maxim Orlovsky, CEO of Pandora Coreの一時間に渡る長期インタビューがあるので、抜粋しつつまとめてみようかと思う。

LNP/BP initiative

RGBは、LNP/BP Standards Associationによって運営される4つのプロジェクトのうちの一つである。

lighting networkには未来がある。それはマイクロペイメントだけではなくて、個人を助ける未来のインターネットの礎である。
そうなるためには、複雑なスマートコントラクトをLN上で実行できるようにならなくてはならない。
経済的な矯正をもたせることで、これは可能になる。

これまでのブロックチェーンで語られ、ICOで用いられてきたスマートコントラクトはいらない。
なぜならば、中央集権化された組織がコードの変更権利を握り、真の意味でのownershipがないからだ。これらは、2つのKYCを必要としている。issureとminerである。

proper smart contract systems

bitcoin scriptで、ownershipを付与し、未来のDLCのためのscript less scriptを用いて、RGBを実行する。
RGBが、クライアントサイドでの承認を実現した複雑なスマートコントラクトを実現する方法である。
bitcoin scriptは10年に渡り、そのセキュリティを証明している。
RGBはそのシンプルさを活用したdiscreet log contractの実装で、私達が今取り組んでいるものである。

how to built rich smart contract

まず、dataをblockchainから取りのぞき、client sideでバリデーションする。これにより、スケーラビリティと、プライバシーと、マイナーインセンティブを取り除くことが可能になる。

最大限のプライバシーを付与するために、所有者は、自身のデータを確認するためだけに、stateを確認することができる。

さらに、RGBでは発行者から、所有権を分離する。本来、ownerはassetsだけでなく、dataそのものの所有権も保持スべきであるからだ。

future of LN

LNは発展し、その上にlayer3のアプリケーションはできていく。
発展とは、下記がある。

  • Bi-directional channel
  • payment points
  • schnorr
  • taproot
  • eltoo

これらは非常に複雑だが着実に進行しており、面白いappが生まれている。

  • channel factory
  • dlc
  • high frequency micro payments
  • storm
  • prometheus

これらの設計を精緻化し、LNの一般化をすることでパワーが開放されていくだろう。

What to do to extend LN?

こういった未来のためには何が必要だろうか。
LNPBPsのような、標準化ドキュメントが必須である。また、複雑性を取り除き、一般化しないと行けない。参照実装も重要だと考えている。

What new protocols may require?

  • funding txの構造の変更
  • 既存のcommit txの修正
  • commit tx, dependent txへのカスタム出力の追加
  • HTLCをfunction baseとする

problem with LN micro payment

  • 最低でも6つの署名が必要
  • appとnodeで4回の通信が必要
  • 3つのリクエストが必要

これらの問題は、Lightspeed micropayments for Lightning Networkを用いれば解決しえる。

ただし、この方法もまだたくさんの問題を抱えている。

RGBも、このprotocol上に構築され、下記のようなtx構造になる。

DLC over LN

multi sigのfunding txの配下にあるtxとなる。

How to bring these changes

現在のlnのprotocolは下記のような階層構造でしめすことができるだろう。

transport layer

noise xkを用いて、bolt8で標準化されている。data transportのためのp2p protocolである。
SSLよりも優れている。

messaging layer

TLVの拡張と、custom messageによって実装される、分散webのためのRPC layerである。

channel negotiation layer

funding txや、channel parameterを設定するためのメッセージ protocolである。

channel operation layer

残りの、custom commit txやcommit base txのための現在のlayerである。

architecture requirement

LN appはmulti peer channelの対応準備ができており、penalty escrow mechanismもHTLCからPTLCへの拡張によって対応可能になっている。
より優れたnetwork layerの分解ができるはずである。
ただし、既存の実装ではこれらは難しく、refactoringが必要なphaseが来ている。
プラグインサポートができていなかったり、channelとconnectionの概念が別れていなかったり、モノリスティックなアーキテクチャになっているためだ。

下記の要件を満たす必要があるだろう

  • マイクロサービス化
  • Zero MQの利用
  • pub subモデル
  • peerとchannelの分離
  • moduleベースの実装

現在実装中のrust lightningでこれらを満たそうとしている。 これらの利用により、アーキテクチャは下記のように変わる

所感

  • LNP/BPが、lightning networkの全体的な推進においてどれくらいの存在感があるかがわからなかった
  • rustが出てきて、また新しい言語を勉強しないといけない
  • layer protocolを見ると、変更の全体感がつかみやすい
  • dlcの自分の昔のまとめ https://speakerdeck.com/bruwbird/discreet-log-contracts
  • RGBが現実化したときに世間はどう反応するのか?