夜間飛行

アマゾンで無料だったから読んだ。

天才サン=テグジュペリ。彼の代表作である『夜間飛行』は、郵便飛行業がまだ危険視されていた草創期に、事業の死活を賭けた夜間飛行に従事する人々の、人間の尊厳を確証する高邁な勇気にみちた行動を描く。

詩的で美しい描写はいつもどおり。そして組織で働く人々の核心に迫る表現がある。特に印象に残ったのは下記。

私が責めているのは彼ではない、彼の心をよぎったものだ。未知のものを前にして万人の足をすくませる、あの抵抗感の方だ。もしあのまま話を聞き入れて、相手の気持ちに寄り添ったら、本人は神秘の国から生還したのだと自分でも思い込んでしまうだろう。